第20章 過去へ……
僕は、城の中でかすがちゃんを探した。
すると、すぐに見つかった。
だって、向こうの方からやって来たんだ。
「姫鶴一文字、何故謙信様のお側に居ない!?」
「あ、かすがちゃん。僕ね、今から団子買いに行くのさ」
「――何か、お前雰囲気変わったか?」
不思議そうに、かすがちゃんも僕を見つめてくる。
そんなに、変わったのかー。
「ゴミと間違えて捨てちゃったんだよ」
「はぁ? 変な奴だなぁ」
そう言いながらも、かすがちゃんは笑ってくれた。
「そうだ、五虎ちゃんは? 一緒に団子買いに行くんだ」
「五虎退か? 門の見張りをしてるぞ」
「ありがとうね、かすがちゃん」
「今日は出陣の日だ。すぐ帰って来い」
「うん、わかってる」
かすがちゃんに手を振ると、振り返してくれた。
結構優しいな。