第20章 過去へ……
僕は、目の前にある門をじっと見つめる。
ここから外に出れば、何処に出るんだろう?
――もしかすると、新しい本丸へ行けるんだろうか?
「姫鶴、何をしている?」
「この門って何処に繋がるの?」
「江戸の記憶に繋がるが」
そっか、ここから旅立てば、僕は新しい本丸へ行けるんだ。
新しい所へ旅立てば、僕にだって仲間は出来るかもしれない。
「ありがとうね、三日月さん。僕、行くよ」
「――僕?」
三日月さんにお礼を言うと、僕は門をくぐる。
すると、VRMMOにログインしたような感覚で、景色が変わった。
目の前に広がるのは、ただ広い草原だった。
遠くには、山も見える。
僕は、宛もなく歩き出した。
――ふと、後ろを振り返れば本丸への門が消えていた。
そっか、帰ってくるなってことか。