第19章 徐々に変わってくる
結局、皆が追いかけてくることはなかった。
僕は、天使さんたちに連れられて、レベル上げマップに来てる。
ここは、天使専用の訓練所らしい。
「ハァ!!」
「とうっ!!」
ここでは、MPが自動回復する。
強い敵もわんさかいるから、僕の仕事は忙しい。
戦ってる、って気分になる。
短時間で、レベルもぐんぐん上がったんだ。
敵だって、綺麗な敵や可愛い敵が多い。
それに、マップだって見惚れるくらい綺麗なものばかり。
ドロップだって、一つ売れば何十万になる物ばかり。
でも、こんなに楽しい戦いのはずなのに、ゾクゾクしないんだ。
いい物を拾えても、特に嬉しいとも感じない。
何故だろう、不思議だな。
無性に、泣きたくなった。
急に、五虎ちゃんを抱きしめたくなった。
あぁ、五虎ちゃんなら、僕が居なくなっても気づいてくれるよね?
僕を探してくれるよね?
そういえば、僕が気付かない時もあった。
でも、五虎ちゃんはずっと側に居て、気づいてほしいってアピールしてた。
あの時の五虎ちゃんは、こんなに苦しい思いをしてたのかな……?
そう、思うだけで胸が苦しくなる。
「正義(ジャスティス)様……?」
「いや、さっきのことで、弟に気付かなかったことを思い出したんだ」
「そう、ですか……。きちんと、謝れば許してくれますよ」
「うん、そうだね。ありがとう」
もう、すぐ謝ったしし、笑顔で笑い合ってるから大丈夫、大丈夫。
帰ったら、五虎ちゃんをいっぱい甘やかそう。
でも、今は僕を気遣ってくれる天使さんと一緒に居るんだ。
下手に、心配かけちゃ駄目だね。