第19章 徐々に変わってくる
気がつけば、洞窟の外に出ていた。
外には、仲間らしき数人の男たちが居る。
――なんか、嫌な予感がする。
だって、男たちは僕を見てニヤニヤと笑ってるし。
僕は、相手のビーストを思いっきり噛んだ。
相手の手が緩んだ隙に、洞窟の中へ逃げようと飛び立つ。
が、羽に鋭い痛みを感じた。
動かすだけで、全身に痛みが走る。
どうやら、羽を撃ちぬかれたらしい。
12枚に増えた羽が、仇になったわけだ。
助けが来る様子もない。
羽も動かせなくなった。
目の前に見えるのは、絶望のみだ。
「姫ヒーラーの癖にさぁ、いい気に乗りやがって」
「お前みたいなヒーラーは、ちょっとお灸をすえないとなぁ?」
冗談じゃない。
元々、ヒーラーの仕事は少ないし、そもそも僕は天界で仕事をして、MPがないから休んでるんだ。
それなのに、君らにとやかく言われる筋合いはない。
「馬鹿じゃない? 僕は、吸血鬼王と戦って疲れてんの。この羽が何の印か、わかんないわけ?」
「ハァ? 知るかよ」
男たちは、ケラケラと笑い出した。
ムッカツク。
中には吸血鬼族も居る癖に。
名前覚えたぞ、『ムゲラ』だな。
今度会った時、絶対とっちめてやる。
「お前みたいな姫ヒーラーはなぁ、肉便器がお似合いなんだよー!!!」
「アハハハハハハ」
男たちが、僕の方へと歩み寄る。
これは、僕の十八番の痴漢撃退法が発揮される時か……?
そんなことを考えていた時だった。
「正義(ジャスティス)様に、何をする!!」
遠くに居るのは、6枚羽の天使たちだ。
MPは……、少し回復してる!
羽が痛いのをこらえて、僕は立ち上がる。
「7大天使、正義(ジャスティス)の名において命ずる。そこの不埒な奴らを全て片付けろ!」
「はい、正義(ジャスティス)様!!」
その瞬間、男たちは僕の身分を理解したようだ。
「何だよ、この姫ヒーラー!! 手下まで作ってんのかよ」
「ハーレム要因の癖に、粋がりやがって」
あーあ、全然理解してないよ。
っていうか、相手全員女の子だよ……?
凄い、怒らせてる……。