第17章 和睦
倒れたミカエルさんと、ルシファー。
そして、動かない全能神。
「いやっ、ミカエル、ミカエルッ!!」
ぐちょぐちょっと響き渡る性的な水濡れ音。
悔しそうに、唇を噛むウリエルさん。
そして、勝ち誇ったように笑う、吸血鬼王。
僕は、ありったけの力でミカエルを癒やす。
僕には、これしか出来ないから。
本当に、僕はヒーラーでよかったんだろうか?
なんで、他の職業じゃ駄目なんだろうか?
何も出来ない、無意味な職だ。
――でも、本当に?
彼を煽ったのは、僕だよ?
本当の無意味は……、僕?
それでも、僕はあがくよ。
だって、期待されてるんだもん。
皆から、不敗の王だって言われてるし、どうなったって、前に進むよ?
図々しい?
そんなの、もうとっくに分かってた。
絶対、振り返らないもんね。
武器がないなら、僕は言葉という武器を持つよ。