第17章 和睦
「ずっと一緒に苦楽を共にした幼なじみと、縁もゆかりもない老人。どう見ても、ミカエル様が有利でしょう。というより、ウリエル様はミカエル様の許嫁で、ウリエル様の口からミカエル様を愛してるという言葉も聞きました」
いや、これは聞きたくて聞いたわけじゃないよ。
向こうが勝手に「愛しい人の宝玉」と口にしたんだ。
「何ィ!? ウリエルめ……、この儂を裏切りおって……!!」
こりゃあ、まずい。
わざと刺されてお涙頂戴路線より、早く里帰りしてウリエルさんに会ったほうがよさそう。
だって、ウリエルさんのところにすっ飛んで行きそうだもん、このエロ爺。
「セレナーデ、危ない!!」
ミカエルが庇ってくれたからよかったけど、エロ爺は目の前から消えていた。
「ミカエルくん、君の許嫁が危ないよ!?」
「あぁ、そうだな。すぐウリエルの元へ向かうぞ!!」
残された吸血鬼が、阻もうと武器を抜く。
でも、容赦のないミカエルの一撃で相手はすっ飛んでいく。
っていうか、ミカエルだけ行かせたほうがよさそうだ。
だって、ペガサスは早いし。
「ミカエル様、ペガサスで行ってください。私たちは、サキュバス城へ向かいます」
「そうか、よろしく頼むぞ!!」
僕は、ミカエルと別れるとドラゴンでサキュバス城へ向かった。