第17章 和睦
入り口は、がっしりと固められてしまったし。
――こういう時、被害が出たほうが勝ち。
僕は、吸血鬼の王が短剣を持っていることをしっかりと確認した。
そして、僕は話し合いを装って、少しずつ彼に近づいていく。
――バレないように、しなくちゃね?
「きちんと、吸血鬼の王よ。何故、悪魔王ルシファーに手を出したのか、詳しくご説明下さい」
「ハッ、ウリエルと違って頭の悪い小娘だ。話す価値もない」
ほー、どうやら、ウリエルさんのこと好きなの?
でも、よぼよぼのお爺ちゃんだし、無理じゃないかなぁ?
にしても、ウリエルさんってよくおモテになるのね。
大変そうだなぁ。
「そうですか。ウリエル様も非常に悲しむことでしょう。ウリエル様は、ルシファーのことで非常に心を痛めておいでです。本当のことを知れば、貴方はウリエル様の槍で貫かれることとなるでしょうね」
「ほう……? この儂を脅そうというのか?」
「脅すなんて、ともでもない。本当のことを言ってるまでです。仲の良かった幼なじみと、対して会ったことのない老人、どちらが魅力的に見えますか? 貴方は、ウリエル様の苦しみも、悲しみも全て知っておいでですか?」
そうだよー、恋っていうのは、ずっと側に居たもん勝ちなんだよ。
まぁ、ただしイケメンに限るっていう注意分がつくけどね。
「何っ、この儂があの若造よりも劣ると言いたいのか?」
え、ちょっと待って。
だって、イケメンと老人でしょ?
老人不利でしょ!? お爺ちゃん、ボケた?