第14章 山姥切国広、無人島を買う
歴史修正主義者側に回ってはいけない。
そう思うものの、ふと疑問を感じた。
なんで、僕ら刀が戦わなきゃいけないんだろう?
だって、僕らは一番歴史修正主義者側に入りやすい立場に居ると思う。
誰だって、元主の過去を変えたい、そう思うだろう……。
もしかすると、仲間が歴史修正主義者側になってるかもしれない。
そう、思ってしまえば、僕は背筋が寒くなる。
明日は、我が身。
ここに居る皆と、敵対することになりかねない。
それだけは、嫌だ。
確かに、昔の仲間も大切だ。
一緒に過ごした期間は、チルちゃんやエルのほうが長い。
だからこそ、刀剣たちより大切に感じる。
――でも、それだけじゃない。
刀剣を敵に回す、ということは、その頂点に君臨する弟まで敵に回す、ということだ。
それだけは、絶対に避けないと。
僕の、一番はみっちゃんや鶴丸じゃない。
柊 優大。
僕の、可愛い可愛い弟だ。
だって、よく考えて欲しい。
刀剣たちと出会ってまだ数日。
いきなり依存するように恋心を抱かれ、皆仲良くする。
でも、それは『姫鶴一文字』としてだ。
何処にも、『柊 恵』じゃなければ駄目、という理由は存在しない……。
僕は、居なくなってしまった『姫鶴一文字』の身代わりだ。
鶴丸、みっちゃん、そして五虎ちゃんが好きなのは、『姫鶴一文字』だ。
でも、弟は違う。
あの子は、僕中心に動いてくれた。
だから、僕の世界はあの子中心で回ってる。