第14章 山姥切国広、無人島を買う
いつかきっと、倶利伽羅もそういう日がくると思う。
そして、僕だってヒーラーという職業を誇れる日がくるんだろう。
その冒険が、どんな冒険かなんて、検討はつかない。
でも、きっとドキドキしてゾクゾクしちゃうような、美しい冒険なんだろう。
そんな冒険に出会えるかも。
そう思えるのが、VRMMOの醍醐味だ。
MMOでは味わえない感覚だと思う……。
「懐かしいなぁ、エルと冒険してた時」
「楽しかったか?」
「――うん、今でも裏切られたのが嘘だって思えるくらい」
「――そうか」
それだけで、倶利伽羅は特に何も言わない。
でも、それでいいんだ。
エルは許せない。
それは、きっとエルとの思い出が綺麗に輝いてるから。
輝きが増せば増すほど、僕は寂しいんだろう。
昔に、戻りたいんだろう。
もう、戻れないとわかっていても。
これが、時の流れって言うのなら、僕はあえて逆らいたくなる。
でも、僕は刀剣。
それを止めるのが、僕の仕事だ。