第11章 Battle11 昔の僕と、今の僕
「それでも、男が多い家系だし、爺ちゃんは喜んでたよ。それで、恵に言われるがままに、刀剣の審神者として、恵を指名したんだ。ただし、姉ちゃんを除いてね」
「僕だけ、違ったんだ?」
そっか、女の刀剣である僕は、邪魔っていうことか。
「うん。姉ちゃんだけ、俺の刀剣になったんだ。俺は、鍛刀も許されなくて、姉ちゃん一人だった。でも、実の姉みたいに優しいから、寂しい時にはずっと側にいれてくれて……」
「あぁ、だから、出会った時に、僕のことを自分の姉って言ったんだ……」
「うん。柊 恵っていう名前は、俺が、アイツから奪った。アイツは、どうせ柊の姓は名乗れないしね。柊 恵に相応しいのは、姉ちゃんだから」
「――どういうこと?」
「後で説明する」
何やら、雲行きが怪しいな。
どうせなら、別な名前がほしかったのに。
「それで、時期が経つにつれて、恵は、自分に能力がないことに不満を覚えた。で、身代わりを探そうとした」
「なんで、優ちゃんじゃなかったの?」
身代わりは、僕のことだろう。
「恵にとって、俺は競争相手の一人。恵が遺産を全部貰うつもりなのに、爺ちゃんが、一つだけマンションを俺に残すって言ったから、俺を追い込みたかったんだ」
お金があるっていうのも、不幸なことなんだなぁ。