第10章 Battle10 始めて出会った常識刀剣、その名も沖田組
薬研が何か言おうとした時、僕は「待って」と静止をかける。
「沖田組ー、まだそこに居るよね? 第三者として、どう思う?」
「最初は、本物の恋人みたいに仲良くしてたっけー?」
「そうそう、腕なんて絡めちゃってさー。でも、気づけばその審神者が僕らとか別な刀剣にちょっかい出し初めてー」
「お、おう……」
何、この修羅場?
っていうか、一期一振さん一筋じゃなかったの!?
「確か、三日月を真夜中に呼んで……、その後、弟達が一期一振を守るようになったっけー?」
「あ、そうそう! 姫、五虎退なんて、毎日お前の名前を夢のなかで呼んで、泣きながら寝てたから」
安定に言われ、うっと言葉に詰まる。
いくら知らなかったとはいえ、彼らが苦しんでる最中に、僕はぬくぬくとした楽しいニート生活をしてた。
だから、言い訳する言葉はない。
「――そういう理由で、一期さんは、君には近づきたくないらしいよ? 悪いけど、僕ら刀剣にも、君たちのような発言の自由はあるんだよ」
「べ、別に、やましいことをしてないです……」
「でもさ、相手を傷つけたのは事実。正直、僕の言うとおりにしないと、出て行ってもらうから」
新人審神者は、下を向くと、ぶつぶつと何かを言い始める。
「姫ちゃん、危ないっ!!」
慌てた乱ちゃんが、僕に駆け寄ろうよした。
その時だった。
新人審神者は、僕に何か光の玉をぶつけてくる。
「刀剣なら、刀剣らしく私の言うことに従いなさいっ!!」
新人審神者にそう言われ、僕はため息を付いた。