第10章 Battle10 始めて出会った常識刀剣、その名も沖田組
僕は、沖田組に案内されて審神者部屋へと歩いて行く。
ここ辺りの景色は、見慣れているように感じるのは、たぶん気のせいじゃない。
姫鶴としての記憶が少しだけ残ってる証拠だ。
確か、ここを真っ直ぐ行った突き当りの部屋。
そこが、審神者部屋だったはず。
そして、案内された場所は、やっぱり記憶にあったあの部屋。
薄っすらとだけど、景色だけは思い出してきた。
「――だから、俺っちたちは、もうアンタの指図は受けねぇ! さっさと、出て行け!!」
「もう、うんざりなの! 毎日毎日、一兄が嫌がることして……!!」
聞こえてくるのは、薬研と乱ちゃんの声だ。
そういえば、昨日長谷部が「怪しい行動をしてる」って言ってたな。
あれは、連れ戻そうとしてたんだ。
なんていうか、あの時連れ戻してくれてたら、『祝・手入れ初体験』みたいなイベントは起きなかったのに。
そもそも、近くに誰か居てもらえばよかったな。
「おーい、薬研。僕の弟……、優ちゃんとの電話中に、僕を気絶させたでしょ? 優ちゃんに刀解されたくなかったら、大人しく本丸への道順教えてくれない?」
「最悪!! 主だけには、迷惑かけたくなかったのに!!」
「勝手に、恵とか言う女に尻尾振っときながら……、都合がいい時には主を頼って……」
そういえば、みっちゃんが言ってた「元主を主と呼ばせてた」という言葉が気になるな。
後で、弟に聞いてみよう。
「こら、薬研。聞いてるのー?」
扉を開ければ、目に見える薄い青白い光に邪魔されて、薬研と乱ちゃんは新人審神者らしき人物に、近づけない様子だった。
何だろう、これは……?
気になって、触ってみると……。