第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「姫鶴、一文字……。君の元主を打ったのは、僕の元主、政宗公だよ」
「伊達政宗? 覚えてないなぁ」
やっぱり、英語ペラペラで口笛吹いたりキザな台詞を言うんだろうか?
って思う私は、BASARAに毒されている。
「君は、戦うことに執着してるだろう?」
「う、うん。結構戦うことが好きだと思う」
「それは、君がもっと強くなりたい。そう願う心の奥底の思いだと思うよ。もっとレベルを上げて、僕に勝ちたい」
よく考えてみれば、僕は男が嫌いだったと思う。
でも、刀剣はどうってことなかったし、みっちゃんに対して恨みつらみは……、最初はなかった。
今は、なんていうか、五虎ちゃんには近付かないでほしいと思う。
理由はわかんないけど、近づかれたら嫌だ。
でも、それ以上の感情は、特に無いしね。
逆に、みっちゃん以上に倶利伽羅がアレだな。
さっきの表情のせいで、近くにいると、どうも落ち着かない。
マジマジと殺気に晒されたせいだね。
当分、信用はできないかも。
「君は、僕だけ出陣していることに怒っていた。僕は、主の近侍だったから……」
「元主、上杉謙信の無念を晴らしたかった。なのに、宿敵は近侍として活躍し、自分は全く出撃できない……」
だから、僕は戦うことが好きだったの?
やだなぁ、そんな理由。
それなら、自分が審神者やってるんだから、てきとーにごまかして出撃すればよかったのに。
自分のことながら、頭固い刀だったんだなって思う。
だって、いくら元主の宿敵の刀だからって、戦ってそういうものだし。
それを、いちいち割り切らないほうもどうかと思うなぁ。
なぁんか、下手に聞かなきゃよかったと思う話だ。
自分が嫌いになる日がくるなんて、夢にも思わなかったよ。