第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「あぁ、お前がその気なら、構わないぜ? セレナーデは俺が引き受ける。今まで、ご苦労だったな」
ケラケラと笑いながら、鶴丸が僕とみっちゃんの間に割って入る。
鶴丸は、ペースが一切乱れてない普通の鶴丸だ。
そんな鶴丸を見て、僕はほっとひと安心する。
「だから、俺はお前らがこの世界に来ることに反対したんだ。お前らが、ここの世界に来ないよう、封印を守護していたというのに」
「封印?」
「あぁ、そうだ。本来、ここと本丸は繋がらないように、封印がしたあった」
「それなら、またし直せば?」
「出来る刀剣が、もう居ないんだ。正しくは、もうできないと言ったほうが、正しいか?」
もうできない、ということは、何かしらのアクシデントに見まわれ、刀解したとか?
ぱっと考え、思い当たる人物は……、石切丸だ。
だって、彼は加持祈祷を得意とする。
それなら、封印だってできそうだ。
「もう、どうやっても頼むことはできないの?」
「お前次第だな」
「僕、次第……?」
「あぁ、そうだ。姫鶴一文字」
「姫鶴……、一文字……?」
「刀剣では珍しい、女の刀剣。それにくわえ、お前は審神者の力も持っていた。そのせいか、お前は主命で、ほとんど出陣はせず審神者の仕事をしていたんだ」
「審神者の、仕事……? そんなの、そんなの、僕は記憶に無いよ?」
記憶を探って見ても、全く審神者として本丸に居たなんて覚えてない。
刀剣だった記憶なんて、全く無い。
あるのは……、五虎退。
彼が居て、落ち着くという感情だけだ。