第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「あの……、ひいさま……?」
ひいさま。
その呼び方に、不思議と違和感はない。
僕は、姫様って柄じゃないのに。
何故か、その言葉をすんなりと受け入れてしまう。
「僕、僕って、一体何者なの……?」
「くすぐったいです……っ」
「君は、やっぱりその子が大切なんだね……」
みっちゃんが、とっても悲しそうな顔をしてた。
その理由は、全然わからない。
でも、みっちゃんが言うとおり、みっちゃんより五虎ちゃんが好きだ。
愛おしくて愛おしくてしょうがない。
こうやって、抱きしめてると落ち着く……。
ぎゅーっと抱きしめて、頬ずりすれば、五虎ちゃんの体温がいっぱい伝わってきてとても安心する。
この感覚を、言葉にすれば……。
「弟……」
「――光忠。安心しろ、昔とは違う」
「うん、わかってるよ」
「昔とは違う? 何か、何か僕の昔を知ってるの……?」
倶利伽羅に問い詰めると「お前に話すことはない」とだけ語った。
その言葉は、裏を返せば『YES』だ……。
「君は、僕の主だよ。ずっと昔から本丸で交流してたんだ」
「そうなの?」
「うん、そうだよ。――ずっと、ずっと昔からね」
その言葉に、僕は何故か違和感を感じた。
けれど、明確にはできない違和感だから、気にしないことにした。
彼が言うんだから、たぶんそうなんだろう。
でも、僕はなんでそのことを忘れたの?