第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「だぁってぇ……、チル知らないもぉんっ!!」
「ご、ごめんね。チルちゃん……」
「いっじょに、遊べると、思ったのぉ!!」
ぽかぽかと、チルちゃんに胸をたたかれる。
完全に駄々っ子モード入ってしまった……。
こんな時、どうすればいいの……?
「また、パーティー組もうね? ほら、落ち着こう?」
「同じ職とか、ぎいてない!!」
「ごめん、本当にごめんね?」
頭を撫でるけど、わーわーと更に大きくなるばかり。
「あ゛ーそんなのじら゛な゛い゛ぃ゛ー!!」
本来の子供のように、抱っこもできないし。
頭を撫でながら、必死に謝る。
でも、チルちゃんは更に悪化するばかりだ。
「大丈夫ですかぁー?」
心配そうに、ビーストの女の子が顔を出す。
「そ、それが……、僕と同じ職になったから、泣いちゃって……」
「あー、まだ中身小さいのかなぁ?」
「小学生ですねぇ」
「そっかぁー」
ビーストの女の子は、ぽんぽんとチルちゃんの頭を撫でながら話す。
「なんで、同じ職は嫌なの?」
「だっでぇ、いっじょにバーディーぐめ゛な゛いもん……」
「どうして?」
「同じパーティーじゃ、効率悪いもん……」
おぉ、凄い。
チルちゃんが泣き止んでる……!!
「一緒に組みたいんだよね?」
チルちゃんは、ゆっくり頷く。
ビーストさんは、宥めるように、チルちゃんの頭を撫でた。
「なんで、相手の子は好きな職選んじゃ駄目なの?」
「そ、それは……」
チルちゃんが、申し訳無さそうに下をうつむく。
「ゲームなんだから、性別や職なんて、相手の好きにさせないと、駄目だよ?」
「――ご、ごめんなさい」
うつむいて、きゅっとズボンの裾を握るチルちゃん。
今にも泣き出しそう。