第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
「それが……、今回参加する皆、セレナ側の人間だから」
「僕側?」
「そう、セレナやその他の人への扱いが嫌で、ギルドを抜けてった人とか。後は、チルちゃんみたいに、そういうのが嫌で、エルとは極力かかわらなかった人」
「――ねぇ、どういう状況かな?」
僕は、さっきの話を手短に話す。
すると、話すと話す程皆の顔が険しくなる。
「――あのさ、そんな状況なのに、よくセレナちゃんのことが好きとか言えたよね?」
「す、好きになったのは、もっと後よ……」
「あぁ、僕が外でパーティー組み始めて、姉さんたちに実力が追いついた時!?」
「……う、うん」
最悪なタイミングじゃないか。
思ってもみなかったけど、こうやって整理すれば、姉さんって強いプレイヤーに擦り寄る姫寄りな人間だったのかと呆れ果てる。
「――ずっと強い貴方で居てね、か。恐ろしい女だ」
「い、いや……、それは……」
「上手い汁を、ずっと吸わせろ。そういうことだろ?」
姉さんは、眉を八の字にして、私に助けを求めるように見つめてくる。
「確かに、姉さんとは仲良しだと思ってた。でもさ、チルちゃんはまた別格なの。あの子は……、なんていうかとても大切な子だから。チルちゃんが決めたんなら、僕もそれに従うよ」
チルちゃんは、辛い時に側にいてくれた。
そして、僕が前に進めるように、背中を押してくれた。
仕事を強制的に止めさせられ、家族が嫌いになった。
その時も、慰めてくれた。