第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
二人は、まだ見ぬゲームの世界に目を輝かせてる。
よくよく考えてみると、僕だってBloody Maryを始める前は、まだ見ぬゲームの世界に目を輝かせてたっけ。
まぁ、一度体験しちゃうと、次から新鮮味が無くなるんだよね。
それなのに、何故VRMMOに拘るのか。
戦ってるとゾクゾクしちゃうのか、それが気になる。
弟は
『姉ちゃんは、昔からそういう男勝りな遊びが好きだったから』
とだけ言った。
でも、そんな昔のことを私は覚えてない。
お嬢様高校に進学したと聞いた。
エスカレーター式の幼稚舎に進学したと聞いた。
大学も、いつ入学したのかわからない。
気がつけば、通ってた。
大学途中からの記憶しか残ってないんだ。
でも、唯一覚えていることはある。
元セフレのことだ。
って言っても、記憶が復活したすぐ後のことだけど。
彼と始めてエッチして、自分が処女だったことを知った。
その後、すぐに彼は本命が妊娠したことを理由に別れた。
時々、噂を聞くけど、私の事なんてすっぱり忘れて、別な愛人を作って、妻には隠れて楽しくやってるらしい。
何故、私は彼のことが好きで付き合ったのか。
それも、覚えてない。
ただ覚えてるのは、男性に対する不快な感情だけだ。