第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
こんな後ろめたい気持ちになるなら、最初からセレナーデにしなきゃよかった。
後悔してからは遅く、名前を変えるにはキャラを削除しなくちゃいけない。
そうなると、色々手続きが大変だ。
最低でも、このβ中は削除ができない。
なんていうか、忘れてくれるまで頑張って耐えるしかないんだ。
全て、僕が悪いんだしね……。
「ほら、行こう?」
「――うん、そうだね」
「あんな奴らほっとくに限る。どうせ、他人に仲間が居るのが羨ましい奴らなんだ」
「うん……」
僕は、催促されてその場から離れる。
でも、さっきの人達の言葉は耳から離れない。
「くりちゃんと何処で合流しよう?」
「それが問題だよね。詳しい集合場所なんて、聞いて決めてなかったし」
とりあえず、僕らは人の流れに乗るように、歩き続ける。
そして、辿り着いた先は馬車だ。
「先行組の強者達のバトルパーティー参加者様はこちらへどうぞー!!」
「お、おーい、乗せてくれー!!」
丁度、専用の馬車が用意されてた。
僕らは、急いでその馬車に乗る。
並んでる人達の視線が痛い。
「いいなぁ、その日仕事で参加できなかったのに」
「だよねぇ、今日休日だから遊べるけどさ」
ヤバイ、長いこと仕事してないから、今日も平日だと勘違いしてた。