第9章 Battle9 VRMMOだからこそ、伝わる温度差
僕らは、フレンド登録もしたから試験は無事終了。
武器を受け取った。
服は、そのままだ。
もっといい服着たかったなぁ。
そんな風に思ってると、なんか視線を感じる。
その視線の先には、ヒーラーの集団が居た。
「ねぇ、見てよ。あの名前……」
「セレナーデだって。その名前にすれば、ちやほやされると思ってるんだ。馬鹿みたい」
「セレナーデみたいな、イケメン王子様は、あんな狙いすました女なんて目じゃないのにね」
「ほら……、もう名前に騙された人達が居る。可哀想」
「ね、強いと思ったら、結局使えない子でしたってなるのよ。可哀想」
あぁ、これが僕の罪なんだ。
ネカマして、カッコイイ自分に磨きをかけてた。
でも、そのせいで後から自分に刃が降り注いでくるなんて、思いもしなかった。
否定しようにも、僕が昔のセレナーデだなんて知る人は、ごくわずか。
「恵ちゃん、気にすることないよ?」
「う、うん……」
というか、こんな状況でリアルバレするのは非常に不味い。
そう、つくづくと感じた。
「――ごめん、リアルバレすると色々大変だから、ゲームの時はそっちで呼んでもらっていい?」
「別に、構わないぜ?」
本当の自分を知られるのが怖いだなんて……。
嫌だとは感じたけど、怖いと感じたのは始めてだった。