第8章 空での戦い方
その後も朱莉はあまり俺に甘えてこなく、むしろスガや旭にいろいろ言うようになった。
もちろん帰りは一緒に帰ることもあるし、話もするんだけど
何かが違う。
澤「朱莉。なんか隠してる?」
「あたしがだいちに?何を?」
澤「いや、それ言われたら分かんないんだけどさ」
「隠してないよ、、、。何も、、、。」
澤「そっか。ならいいんだけどさ。何かあったら何でも言えよ?」
「わかってるよ」
俺が、一番朱莉に近かったはずなのに、今では一番遠いんじゃないかって感じる。
「ねぇだいち。」
「好きな人、いる?」
澤「え?」
「だから、好きな人。いる?」
澤「あー、、、えっと、好きな人って言うより、気になる人、かなぁ」
目の前にいるんだけどな、、、
「気になる人、、、」
どうしたんだ、、、いきなり、、、
澤「朱莉は?いないのか?好きな人。」
俺だったらなんて、ほんの少しの期待を込めて。
「、、、いないよ。相手だってあたしに好かれても迷惑だろうし」
澤「迷惑って、そんなことないだろ!朱莉はすごく優しいんだから!」
「だいち必死すぎ。」
澤「だって!」
「あたしは、誰も幸せに出来ない。」
街灯のない道では、朱莉がどんな表情をしているのか分からなかった。
澤「そんな事ないって。俺は、幸せだぞ?」
だから、否定してやることしか出来なかった。
「そっか、、、ありがと。」
澤「俺は、、、何も、、、。」
「そんなことないよ。ありがと。じゃあまた明日ね。」
また一歩、お前から離れてしまった気がした。