第25章 距離
大地、今週何人目よ。少しだけ、肩を丸めて歩く大きな背中にそう問いかけた。
「……6人」
呟かれた人数は俺がカウントしてた人数よりも1人多くて、思わず誰だろうと考え始めた。
「ひとり、メールで言われた」
「なるほど、だから俺分かんなかったんだ」
納得!と頷いてから「気になる?」とまた問いかけた。何を、とは言わずにも分かるだろう。
「ならない……って言ったら嘘になるな」
「俺の把握してる限りだと7人、だったかな?まぁ、どいつもこいつも最近の朱莉を見てらしいけど、見事全員玉砕。諦めてない奴も居るみたい。」
「そう、か……」
何を報告し合っているかと言うと、まぁお察しの方もいると思うけど、告白された人数。
俺という番犬をくぐり抜けてまで言おうとする奴らが思っていたより多かった。
「萎らしくなったのが可愛く見えるんだと」
「そうじゃなくても可愛いけどな」
「同感」
大地ならそう言ってくれると思ってた。
「まぁその話題の朱莉サンも?今まさに8人目に体育館裏へ呼び出されてるらしいけど」
「あーくそムカつく。部室行くついでに邪魔してやろうか」
「大地のそうゆうとこ好きだわー」
笑って、わざと体育館裏を通るように部室へ向かった。