第8章 空での戦い方
部活の休憩中、体育館の裏口でドリンクを飲んでいた時、朱莉が隣りに距離を少し開けて座ってきた。
「ねぇ、スガ」
菅「んー?なに?」
「好きな人いる?」
菅「ブォッフォッ」
思わず口に含んだドリンクが霧と化した。←
「スガ汚いー」
菅「お前が突然変なこと言うからだろ!?」
「変なこと言った覚えねーし」
菅「言ったろ!好きな人いる?って」
「それ変なこととか、スガの頭終わってる。」
菅「マジこいつ腹立つ。」
「そりゃどーも。んで、いるの?」
菅「い、、、いるよ。」
「ふーん。」
菅「お前が聞いたんだろッ!?」
珍しく言い返してこないなーなんて思ってたらまた質問をしてきた。
「好きってどんな感じ?」
菅「えっ?」
「あたし分かんなくなっちゃったんだよね。好きとかコイビトとか。信じられない。」
そういった時の朱莉の横顔は赤い髪の毛で見えなかったけど、少し寂しそうだった。
澤「始めるぞー?」
菅「あ、うん!今行く!朱莉は?」
「まだいる、、、」
珍しく弱気な朱莉が気になったものの、練習を再開した。
「信じられないよ、、、好きなんて言葉、、、」
朱莉の呟いた言葉は、誰かのスパイクの音でかき消され、誰の耳にも届かなかった。