第6章 東京遠征〜2〜 トラウマ
べにのお父さんは警察に捕まり、
なんとか一命を取り留めたべには回復にむかった。
でも、べには全く笑わなくった。
当たり前だ。
たった一人の家族に殺されかけたんだから。
それからは毎日お見舞いに行った。
べにが笑ってくれるように。
退院する頃には少しだけど笑えるようになった。
問題は住むところ。
小学2年生では一人では生きて行けないし、親戚も、金は出しても面倒を見るのは嫌だと投げ出した。
子供の俺が見てもわかるほど、べにが苦しい状況にあるのはわかった。
縁「母さん!べにといっしょに暮らしたい!」
縁母「でも、、、」
縁「べにには、もう家族がいないんだ!俺が、家族になってあげたい!」
今思えば、なんてことを言ってのだろうと恥ずかしくて顔から火が出そうだが、あの時はあれが一番ベストだったんだと思う。
俺のお願いに負けた母さんはべにを引き取って一人で生きていけるまで一緒に暮らそうと言ってくれた。
そこから高校入学まで一緒に暮らした。
一緒に生活していて気づいた。
べには、自分に向かって手を向けられることが怖くなっていた。
『あの日』のお父さんを思い出してしまうから___