第24章 すれ違い
たくさんの傷を抱えている彼女が、どれだけツライかなんて俺には想像もつかないから、せめて彼女が望むことをしてあげたい。
「あとね、あたしバレー部のマネージャー辞める…」
「っ!!?なん、で…」
「そろそろ限界なの…でもこれからも今まで通り部活に出るよ。マネージャーって肩書きが無くなるだけだから…」
“限界”という言葉にどういう事なのかと考えを巡らせるも、何も思い浮かばない。何一つ、だ。
「ごめんね、」
謝るのは朱莉じゃない。『何か』が限界になってしまうほど気づいてやれなかったのは俺で、謝るべきなのも俺なのに。
俺の声帯は何一つ音を発してくれない。
「だいちはこれから、私のことをなにも気にしなくていい。誰と居ても、何をしてても構わない。」
息が、止まってしまいそうだ
「私がだいちの隣で一緒に歩きたいって戻ってきた時、どんな選択をしても構わない。」
「……例えそれが良くない選択でも?」
真っ直ぐ、俺の目を見ながら朱莉は頷いた。
「……分かった。俺は、お前を信じて待ってればいいんだろ?」
僅かに揺らいだ瞳に動揺の色を見つけて、俺の言葉が正しかったと確証した。