第24章 すれ違い
-菅原-
昼休みの始まりを告げるチャイムが鳴り、朱莉と大地は一緒に戻って来るんだろうと思っていた。
だけど、俺の予想に反して、戻ってきたのは大地ひとりだけ。
なんで?朱莉は?仲直りしたんじゃないの?
いくつものハテナが犇めき合って、もう、
訳が分からない。
「ねぇ、朱莉は?一緒じゃないの?」
肩を掴んで訊ねると、笑った顔が俺を見た。
「傍に、居てやってくれないか?」
その一言でこころがドクンて音を立てて
旭と清水に、大地の様子が変だから見てやって欲しいと告げて再び走った。
違う、そんな筈はない。
なにかの間違いだ。俺の早とちりだ。
僅かな希望を握りしめながら、保健室の扉を開いた。
「……やっぱり、スガだったか…」
窓ガラスから入る太陽の光が、彼女を消し去ってしまいそうな気がして
見守ると決めたはずの彼女の身体を、その存在を確かめるように腕の中に閉じ込めた。