第24章 すれ違い
一歩一歩踏み出す度に足が重くなっていくような気がする。
気まずいからなのか怖いからなのか分からないけど、とにかく不安で仕方ない。
それでも、あの時の朱莉の表情が頭から離れなくて、あの哀しそうな表情を思い出すと歩みを進めずにはいられなかった。
保健室の扉の前に立ち、大きく深呼吸してから2回ノックして扉を開けた。
「失礼します。」
「あら、澤村くん。お姫サマのお迎えかしら?」
「それもですけど、少し話をしたくて。」
「いいわ。職員室で仕事があるし、昼休みにはここに戻ってくるから、それまでに終わらせるのよ?」
「…ありがとうございます。」
「お願い。あの子の不安を、少しでも多く取り除いてあげて。」
小さく告げられた先生の言葉にはい、とだけ答えて、カーテンのひかれたベッドに近づいた。
「朱莉、話をしよう。…入るぞ?」
カーテンを少し開いてその内側に入ると、ベッドの上にちょこんと体育座りをして顔を伏せた彼女がいて。
すこしだけ、付き合い始めた頃と似てる気がした。
状況は、あの時とは全然違うけど。