第24章 すれ違い
タイミングよく授業の終わりを告げるのチャイムが鳴って、一足先に俺は教室へと戻る。
大地、そろそろ分かったかな?
全部じゃなくても、朱莉の苦しさを少しでも理解してあげて欲しい。
朱莉の負担を少しでも和らげてあげれるのは大地だけなんだからさ。
どうかこのまま事が丸く収まってくれ。
そしていつもの日常が戻りますように。
なんて俺が願ったところで、この先を決めるのはあのふたりなんだけど、そうなって欲しいと願わずにはいられなかった。
「大地…考え、纏まった?」
深刻な顔をした大地の席の前に立ち、その表情を見つめた。
「正直、全然纏まってない。それでも、朱莉と会ってちゃんと話したい。」
不安と覚悟が入り交じった表情。
俺は小さく頷いて
「朱莉なら保健室にいる。」
大地だけに聞こえるよう呟いた。
「5時限目始まる頃には、二人とも笑って戻ってきてくれるかなー。」
誰に向けるでもない独り言を呟いて、俺は授業の準備を始めた。