第24章 すれ違い
「いやだっ…スガ、離して…お願い……行きたくない…」
さっきよりも暴れなくなった身体にほっと一息つくも、これでもかと拒否している現状に変化はない。
震える身体から、痛いほど伝わってくる想い。
『こわいっ…たすけて…』
『だいちの気持ちが他の誰かに向いたらどうしよう』
『ひとりにしないで』
虚勢を張っていても中身はただの女の子なんだ。
強い自分を演じているだけで、本当は俺達が思うほど強くない。
「大丈夫、俺が、俺達が付いてる。だから、少しだけ、頑張ってみよう?」
絶対に独りにしない。
「わかっ、た……」
もう毎度お馴染みとなった保健室に連れ行く。
「あら、紅林さんはすっかりここの常連さんね?」
そう言って先生はこの前と同じベッドを開けてくれた。保険の吉野先生が理解のある先生でよかった。そうじゃなきゃこんなの絶対怒られてるし。
「放課後までコイツの事預かってもらえますか?」
「ここは保育所じゃないんだけどね。」
お小言を零しながらも先生は頷いてくれた。