第22章 俺の
朱莉がトイレに行ってすぐ、タイミングを見計らったかのように近づいてきた見知らぬ女の人達。
「キミここら辺の子じゃないよね?」
「スポーツやってるのかな?いいカラダしてるね!」
「これからお姉さんたちと遊ばない?」
なんと言うか一言で片付けるなら『ケバい』。
香水の匂いはキツイし化粧だって濃い。
朱莉とは、全然違う…。
「俺、合宿中なんで…。」
「えー大丈夫だよぉ!何なら監督さんに連絡してあげるし!」
「オネーサン達と気持ちいいことしよ?」
俺の腕に態とらしく当てられる女性特有の柔らかさ。思春期男子にはヤバイだろうに何とも思わない。
あいつじゃ、朱莉じゃないから。
「あの俺彼女いる」
「お取り込み中悪いんだけどさ」
背後から聞こえる槍の様に鋭い声。
「その人、あたしのだから返してくんない?」
貼り付け笑顔に赤い髪をなびかせて立つ朱莉がいた。