第21章 取扱説明書?
結局昼休みは保健室で過ごし、殆どバレーの話ばかりしていた。
「今週末また東京だったよね?」
「ああ。前と同じで2日間な。それがどうかしたか?」
「ううん。ただ、成長の夏だなーって」
朱莉は時々俺の分からないようなことを言う。
これもマニュアルに入れておかないとな。
「それより朱莉、もう痛いのは平気なのか?」
「うん、今のとこは薬効いてるっぽい。教室戻れるよ」
「無理はすんなよ?」
「ヘーキへーき、ここにいてもつまんない。」
「じゃあ俺も戻りますね。あと大地さん、これまた痛み始めたら薬飲ませてください。コイツ平気なフリするんで気をつけてください。」
「おかーちゃん目敏い!!」
「誰がお前なんかの母親になるか!」
以前と何も変わらない二人のやりとりに心のどこかでホッとした気がした。
だって縁下がいなければ朱莉はまだ辛いままだった。俺じゃ何もわからなかった。
縁下はまだ俺のライバル的な位置だけど、居てくれて良かったと心底思う。