第21章 取扱説明書?
ドクドクと速度を増す心拍。
やばい、どうしよう
すきだ。
朱莉が欲しい。
無意識のうちに俺の指先は朱莉の頬のあたりに触れていた。
ピクッと揺れる朱莉の体。不安げな瞳。
そして瞬時に思い出した。
『首や顔の周りに触れようとしないで下さい』
「っ、すまん。驚かせるつもりはなかったんだ!」
熱いものに触れたみたいに手を引っ込めて謝れば朱莉の目は悲しい色を浮かべた。
「ううん、だいちは悪くないよ。悪くないのは、」
「そういえば何で具合悪かったんだ?」
朱莉の言葉を遮ったのは、その後のセリフが予想出来たから。
自虐の言葉を聞きたくなかったから
「あーあの、えっと、」
それを察したのか、俺の質問に答えようとする。
でも言いづらそうにするばかりで肝心の答えはまだ発せられない。
「もしかして病気か何かか?」
不安になって問えば返ってきた否定の言葉。
なら一体なんなんだ?
増々疑問が深まった頃、保健室の扉が開いた。