第21章 取扱説明書?
「ちょっと澤村くん、保健室では静かに!」
「す、すみません、、、」
冷静さを取り戻して考えれば、どれだけ必死だったんだと笑いそうになった。
「澤村くんは、、、怪我とか体調悪、、、くはなさそうね。」
大正解です先生すみません。
「あの、朱、、、紅林さん居ますか?」
「紅林さんなら一番奥のベットよ。」
何か探るような目で俺を見たあと、納得した様に笑みを浮かべた。
「そうゆうことね。いいわ、ちょうどお昼食べに職員室行きたかったの。澤村くん頼めるから?」
「っはい。」
何がそうゆうことなのかは聞かずに置いた。先生だって無闇に生徒の恋愛話を言い触らしたりはしないだろう。
カーテンで仕切られた一番奥のベットに足を運んでゆっくり、カーテンを開けた。
「朱莉。」
薄いシーツに包まってスヤスヤと眠る彼女に声をかける。朝より顔色が良くなってるところを見ると、少しは落ち着いたんだろうか。
名前の通りの赤い髪を梳く様に指を通せば微かに動く瞼。
「だいち、、、」
擦れた声で呼ばれた俺の名前。
「ん、どうした?」
「ゆめ、かとおもった。」
「夢?」
「うん、だいちがあたしの名前よんで、あたま撫でてくれるの。」
ゆめじゃなかった。
ふにゃり、と効果音がつきそうなほど緩い笑顔を向けられた。
心臓を鷲掴みにされた気分だった。