第21章 取扱説明書?
朝保健室に行ったきり一限目も二限目も朱莉が教室に戻ってくる事は無かった。
一人欠けていてもいつもと変わらず
滞りなく進められる授業。
俺とスガ以外、誰も気にする様子のない
教室の一番端の席。
ぎゅうぎゅうに人の詰まったこの教室に、
お前一人居ないだけでなんだか物足りない。
つまらない。
早く昼休みになれ。
強くそう思っても壁に掛けられた時計の針は一定のリズムを刻み、ひどく俺を苛立たせた。
キーンコーンカーンコーン
待ちに待った昼休みを告げるチャイム。
朱莉の机に駆け寄り、横に下げてあったカバンから俺のより1回り小さいお弁当を手に取る。
「スガ!俺保健室行くな!」
スガに一声掛け教室を飛び出す。
三階に位置する俺の教室と、一階の端に位置する保健室。この離れた距離が煩わしい。
「澤村!廊下走るな!」
「すみません!」
先生の注意もスルーして、階段は一段飛ばして
「失礼します!!」
そこが保健室だってことも忘れて勢いそのまま扉を開けた。