第20章 コイビト
その事が起こったのは、
まただいちが進路指導の先生に呼ばれて教室に居なかった、ある昼休みだった。
いつものように降りかかる悪口の雨。
しかしその時は少しだけ違った。
モ「澤村くん何であんなのと、、、」
モ「さっさと別れろよ。」
モ「てゆうか、あんなのと付き合うくらいだしさ、澤村くんも裏じゃ悪い事してんじゃない?」
モ「えぇーそんなのショック!!」
モ「ほーんと、見損なったわ。澤村くん。」
モ「バレー部もガラ悪いのいるしさぁ」
聞こえてきたのは、だいちとバレー部の悪口だった。
有りもしない、ただくだらない妄想から生まれた最低な悪口。
自分の事ならきっとスルーしてた。
けど____
菅「…朱莉?」
__ガタンッ
あたしは自分の席の後ろにあった掃除用具入れのロッカーを思いっきり蹴っ飛ばした。
(やっべ、歪んじった)
先ほどの騒がしさが嘘のように静まり、
教室にいた人、廊下にいた人の視線が私に注がれた。
注目を浴びるのは好きじゃない。
けど、さ
「さっきから聞いてりゃ、ピーピーうっせぇな。お前ら鳥かよ。」
モ「なんですって!!」
鳥の群れから一人立ち上がり、あたしを強く睨んできた。
こいつが群れの中心か。
けど、残念ながらここで引くようなあたしじゃないんだよねぇ。