第19章 二人の始まり
俺は戻るな、そう言ってスガは保健室から出ていってしまった。
「あの、、、」
緊張が滲み出たような声。
「、、、。」
だけど、返事なんてしたくない。
一緒の空間にいるだけで胸が張り裂けそう。
行き場の無いこの気持ちが溢れて八つ当たりしてしまいそう。
早くこの場から逃げたくて、ベットを降りてすぐこちらを向くだいちの横を急ぎ足で通り過ぎようとした。
入口まであと数歩
踏み出した足は前に進むことなく後ろに下がった。
「離して、、、」
「すまん。それは出来ない、、、。」
掴まれた手首からじわじわ熱が伝わって、少しずつ体温があがっていくような気がした
このままじゃ、流される
でも、振り解けない。振りほどきたくない。
矛盾した二つの気持ちがあたしを掻き乱す