• テキストサイズ

澤村くんとトラウマ少女【HQ!!】

第19章 二人の始まり










“1回フられたくらい”


確かに、たった1回ぽっちなのかもしれない。


でも俺にとっては一生一代をかけた告白だった訳で、生半可な気持ちじゃなかった。


「お前に俺の気持ちは分からないさ」


家族として傍に居られるお前にはきっと__



「じゃあ、、、大地さんにだって俺の気持ち分かんないですよッ!!!」



俺に怒鳴りかかった縁下が田中と西谷に抑えられた。いつもなら逆なのに。



「ずっと、ずっとずっと、、、あいつの事が好きなのに、、、家族としてしか居られない俺の気持ちなんか、、、」



悲痛な叫びだった。


怒りも悲しみも嫉妬心も全部詰まった叫び


恐らく誰にも、

1度も話さなかった“縁下の本音”



あの時縁下は、どんな気持ちで俺の背中を押したんだろう


どんな気持ちで朱莉の傍に居たんだろう



冷静さを失うくらい、朱莉のことが大切なはずなのに


自分では無く、他の誰かに託した



「あいつの話、、、ちゃんと聞いてやってください、、、」


落ち着いて、呼吸を整えながら縁下がそう呟いた。


「そしたらもっと、違った結末がある筈です」



俺にぺこりと頭を下げ、烏養コーチに今日は帰りますとだけ告げ、体育館を後にした。



縁下の出ていった体育館は


重く息苦しい空気が漂っていた。





/ 436ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp