第19章 二人の始まり
ー澤村ー
「もう、いいや。」
どこからかそんな言葉が聞こえてきて
そのすぐあと
朱莉が、倒れた
息苦しそうに胸元を押さえて
「ちか、、、ちか、ちかぁ、、、」
縁下の名前を必死に呼びながら
みんなが朱莉の元へ駆け寄る中、
おれは、1歩も動けなかった。
スガの手で運ばれていく朱莉を
ただ見ていることしか出来なかった。
グッ、と唇を噛み締め朱莉達から視線を背けると
「なんでですかっ、、、」
びっくりするほど強い力で、縁下に腕を掴まれた。
「あいつの事、ちゃんと気づいてやって下さいって、お願いしたじゃないですか、、、」
平静を装ってはいるけど、相当怒ってる
「俺はあいつにフられたんだ。今まで通り傍になんかいれない。」
部員達が驚いた顔をしてこっちを見ている。
そりゃあ驚くだろうな。俺だってフられるなんて思ってなかったんだから。
「1回フられたくらいで何言ってるんですか」