第19章 二人の始まり
朝、目を覚まして
心地いい温かさに包まれていて
“しあわせ”だなんて感じた。
「なんだ。起きてたのか」
寝起き特有の擦れた声がして、髪が優しく撫でられた
「おはよう、ちか」
「おはよう、べに。着替えしてきな。」
「ん、」
何かあった次の日、ちかは優しくなる。
昔から変わらない。
フラフラする足をしっかり地面につけて、まだ早朝だと言うのにギラギラと輝く太陽を恨めしく思いながら自分の家に向かった。
顔を洗って、歯を磨いて、髪の毛の寝癖を整えて、ジャージに着替えたら準備完了
今日の部活大丈夫かな、、、
でも、
、、、あたしに悲しむ権利なんてないんだ
いろんな想いでグチャグチャになった心を奥底に詰め込んで、簡単に出てこないように鍵を締めて
そうやって見上げた空は、涙の色をしていた
「ちかが待ってる。行かなきゃ。」
言い聞かせるように独り呟いて足を進めた。