第19章 二人の始まり
ー朱莉ー
部屋のドアに肩を預け寄り掛かると、途端に足の力が抜けてズルズルとしゃがみ込んだ。
最後まで話を聞かず走り去っただいちの顔が頭から離れない。
だいち、くるしそうだった。
なきそうだった。
いたそうだった。
、、、及川と、同じ顔してた。
ふたりとも、あたしが傷つけた。
「っ、ごめ、、、ごめんっ」
ぽろぽろと拭いても拭いても涙が零れて
せっかく着せて貰った浴衣にシミができる
「っごめんなさ、、、あたしがっ、あたしがいるから、、、」
だから、彼らを傷つける
「きえたいっ、、、」
この世からあたしと言う存在が無かったことになればいいのに
「〜〜っ、、、」
ズキズキと痛む心臓を抉り出してしまえたら
そんなことを考えていたら後ろからフワリと体に腕が回され、いつも傍に居た幼馴染みの匂いがした。
「帰るぞ。」
力が入らず立てないことはお見通しだったようで、浴衣な事を考慮したのか、背中と膝裏に手が添えられた。
なんとか腕を伸ばして首に抱き付けば、体は地面から遠ざかり、ゆっくりとちかの家へ歩き出した。
「ちか、っ、ごめん。」
いつの間にか男らしくなった肩に顔を埋め、また涙を流した。