第19章 二人の始まり
しばらく探し回った後、岩泉から連絡が入った。
『神社の裏の方にある丘に行ってみろ。多分及川とべには一緒にいるはずだ。』
それだけの短い言葉。
多分岩泉は始めから及川の居そうな場所を知っていたんだろう。あぁ、ほんと嫌な予感がする。
『ありがとう』
それだけ返し、スガと旭にも伝えた。
菅「大地が行ってこいよ。みんなには俺から言っとくから、そのまま帰りな。」
澤「けど、」
東「良いから。」
真剣な目をした2人に背中を押され、その場所まで走った。
人混みの中を掻き分けるように進んで、誰かにぶつかってはいつもじゃ考えられないくらい適当に謝った。
息が切れて苦しいのに、一瞬立ち止まることすら惜しくて足を進めた。
最後の階段を目の前にしてやっと息を整え、
ゆっくり、一段一段、あまり音を立てないように
丘へと続く階段を上った。
そこで見たのが
朱莉が及川に抱き締められている姿だった
胸が抉られるような痛みを堪え、そっと階段を下りた。
それからは何も考えないようにして階段の近くにあった段差に腰掛けて朱莉を待った。