第19章 二人の始まり
『、、、へーきか、及川』
「ん、ヘーキだよ。いまどこ?」
『あー待て俺が行くから待ってろ。そこ動くなよ。』
「うん、ありがと」
ぴっ、通話を終えて耳からケータイを離せば腕は力なく俺の膝に落ちる。
「あーあ、ふられちゃった。」
誰に話しかけるでもなく発した言葉は空気に溶けてゆっくり消えた。
あの子を抱きしめた感触は今もまだこの手に残っているのに。
「クッソ、、、」
振られたことは苦しくて仕方が無いのに、
それ以上にあの子を好きになってよかったって思うんだ。
「もう少しだけ、好きでいさせてね。」
本気の恋がこんなにツライなんて知らなかった
諦めるにはかなり時間がかかりそうだ。