第19章 二人の始まり
付き合った女の子の数は片手で足りないほど居たけど、みんな俺の表面しか見てなかった。
フラれる理由はいつも同じ。
『思ってたのと違った。』
『バレーと私、どっちが大事なの?』
そんな感じだった気がする。
君たちの中の俺ってなんなの?
バレーが一番に決まってるじゃん。全国行く為に必死こいてやってんだから。
付き合う前に部活優先だからって約束して、女の子はそれを了承するけど、別れ際の言葉はいつもそれだった。
私は違うなんて言っておきながら数週間後には他の子と同じ言葉を俺に投げつける。
結局、俺のことをちゃんと分かってくれた子なんて居なかった。
所詮女なんて皆同じだろ?そう思うようにしてからは期待なんてしない分すごく楽になった。
甘い言葉を囁けばすぐに俺に堕ちる。
けどそれはべにちゃんに出会って打ち消された。
『その作り物みたいな笑顔辞めてくんね?』
あぁ、ちゃんと居たんじゃん。本当の俺を見てくれる子。
凍った心が溶けていくような感じがした。
俺に対して厳しいし、見向きもされなかったけど、本気でこの子に俺を好きになって欲しいって思った。
生まれて初めての感情だった。
「べにちゃんは、おれの初恋だよ。」
高3にして初恋なんてダサいかも知んないけどさ。
「情けないとこも、カッコ悪いとこも、弱いとこも、他の女の子には絶対見せたくないけど、べにちゃんになら受け入れてもらえる気がして」
だってホラ、今まさに俺泣きそうなんだよ。
そんな姿見せられるの、君しかしないんだ。
「ねぇ、べにちゃん。おれと付き合って?」
星が満遍なく光る空に、
大きな花火が打ち上げられた。