第18章 夏の終わり
ずっと同じ手でかき氷を持っていたからか、左手はジンジンと冷えてしまっていた。
あー冷たい。、、、そうだ。
及「んぅー美味しいっ!」
隣で美味しそうにかき氷を頬張る及川の首に冷たくなった指先をそっと押し付けた。
及「うっひゃあっ」
ビクぅーっと飛び上がり、目を点にさせている及川の姿。初めて見たそれはすごく新鮮で、ふつふつと笑いが込み上げてきた。
「ふっ、っははは」
こんなに声を上げて笑ったのはいつぶりだっただろうか。すごくスッキリした気がする。
「はぁー笑ったぁっはは」
目尻の涙を拭いて及川を見れば頬を膨らませて拗ねていた。お前ほんとに男子高校生か。それともコタの親戚かなんかか。
「及川ごめんて。イタズラしたくなったんだ」
まだ出てくる笑いを抑えながら謝れば、ぺシーンッとデコピンを食らわされた。
「ってぇ~、、、セッターは指の力強いんだからやめろよぉ、、、」
及「それで許してあげるんだから文句言わないでよね。」
ニタリと笑った及川の顔はこれまた見たことの無い表情。
今日1日でたくさんの新しい“及川”をみつけた。
欠片も作ってない本当の及川。
素の及川はだいちとは違った心地良さがある。
いつもこれならいいのに。そう思った。