第18章 夏の終わり
人気の無い所を目指して歩いているとやっぱり気になる屋台の食べ物。
かき氷食べたい。、、、でもお財布ないんだった。
みんなと会うまで我慢するか。そう結論づけるとほんの少し前を歩いていたはずの及川が足を止めた。
及「かき氷食べない?」
「あたしお財布ないし。及川が食べたいなら買いなよ。」
及「奢ってあげる。」
「丁重にお断り致します。」
及「なんでっ!?」
だって借り作るみたいで嫌じゃん。そう言えば及川はいいから!と繋いだ手を引っ張りかき氷屋さんに連れて行った。
及「俺メロンで。べにちゃんは?」
「あ、あたしはっ「いらないはナシ!」、、、いちご。」
まいどっ!っと大きな声で返事をしたオジサンはカップに山程氷を盛って色鮮やかなシロップと甘い練乳をかけてくれた。
「可愛いカップルにはサービスだ!」
そう言ってオジサンは少しおまけしてくれた。
「カップルじゃないんだけどねぇ。」
及「いーじゃん!周りにはカップルに見えるってことでしょ!」
何が嬉しいんだか。
再び歩き始めるとまた当たり前のように手を繋がれて足を進めた。
コイツにあたしは似合わないだろ、、、さっきのオジサンの言葉を否定するように小さなため息をついた。
及「着いたよ。」
屋台の通りから外れているせいか神社の上にある丘は人が居る気配はなく落ち着いていた。
及「溶け始めてるし、食べよ?」
ぽつんと一つだけ設置されたベンチに並んで座り、水気の多くなったかき氷をつつき始めた。
右手にあった温もりが無くなって寂しいとか、きっと気のせいだ。