第18章 夏の終わり
シロップの沢山かかったところを掬って口に入れると、じんわりと冷たく甘い味が広まった。
「おいしい。」
及「ね!自分で作ったりするより屋台で買う方が美味しく感じるの何でだろ?」
「お祭り効果ってやつかな。」
及「あーあるかもね。」
シャクシャク氷を食べる音が会話の合間に鳴り響く。
及「あー、、、あのさ、いちご味一口ちょーだい?」
「は?」
口に入れる直前に寸止めさせるように及川に言われ、少しだけ口調が荒くなった。
及「だから、それ。俺のもあげるから。」
仕方ない、奢ってもらってる立場だしな。
そう思ってカップを差し出せば、及川はそうじゃなくて、、、とかき氷の乗ったストロー型のスプーンを握るあたしの手をぐいっと引き自分の口の中に入れた。
及「うん、、、あまい。」
親指で口の端をグッと拭うと顔を隠すようにそっぽを向いた。隠しきれていない耳は真っ赤に染まっていた。
なんだよ、赤くなるくらいならやるなよ。
驚きはしたものの、そのくらいでは動じないあたしは脳内でツッコミを入れていた。
「及川、メロンちょーだい。」
及「っあ!う、うん。」
そっぽを向きながら答えた及川はスプーンではなくカップの方を差し出してきた。
遊んでそうで実はピュアなんだな。
ピュア川徹。
また見つけた新しい及川に笑いがこぼれた。