第18章 夏の終わり
はいっ、と目の前に差し出された骨ばった大きな手。
「、、、なに?」
及「手かして?また逸れたりしたら嫌だから。」
まだいいよ、とも言っていないのに勝手にあたしの手を取り歩き始めた。仕方ないな。
繋がれた手はバレーでの突き指からか関節が少し太くなっててゴツゴツしてる。あ、男の人なんだって思った。
ふと横を見れば、自身の足の長さに似つかわしく無いゆっくりとしたペースで歩く及川。
あたしの歩く速さに合わせてくれてるんだ、、、
へぇー、こうゆうとこに女の子は惚れる訳か。やっぱ細かなとこに気が利く奴はモテるんだな。あと顔立ちか。きれーな顔してるもんね。ミーハー女子が好きそうだ。あたしは違うけど。
脳内考察をしていたらジッと見つめすぎたのか及川が驚いた顔をした。
及「お、俺の顔になにか付いてる?」
「いや、ただきれーな顔してんだなって思って。」
思っていた事を素直に伝えると及川の顔が段々赤く染まり始めた。
「そこ照れるとこ?普段から言われ慣れてんでしょ。」
及「ま、まさかべにちゃんから言ってもらえると思って無くて、、、」
うれしー、とまた及川は柔らかな笑みを浮かべた。
今日はこの顔をよく見るな、、、。
仕方なく繋いだはずなのに、
人の熱気で暑かったはずなのに、
嫌いなタイプなはずなのに、
及川の手から伝わる温もりが心地いいと思ってしまった。
(きっとこの暑さで脳の判断が鈍ってるんだ。)
とにかく今は深く考えずに置くことにした。