第18章 夏の終わり
ー朱莉ー
はぐれる直前___
「あ、綿飴おいしそ。」
ふと目を屋台に向けた時だった。
ドンッと誰かの肩がぶつかり、よろけて体勢を立て直した時にはもうバレー部の姿は見えなかった。
「う、、、そ。」
絶望的である。
人が沢山いて、その人たちの目線は好奇心を含んで大体自分に向けられる。
見せモンじゃねーぞ。
そんな悪態を心の中で吐きつつも心細いことに代わりは無い。“人混み”という物に免疫の無いあたしにとってここはビクビク怯えることしか出来ない。
ケータイもお財布も手元には無い。
やだ、こわい。だいち、ちか、早くきて。
お願いだから、ひとりにしないで。
なんとか知っている人を探そうと辺りをキョロキョロ見渡せば、お目当てではないが知ってる顔がゾロゾロと、、、
出来れば会うのは彼ら、、、いや、彼以外であったら
そんなことを考えるだけ無駄だった。
「あっれー?もしかして、べにちゃん!?」
「うわ、さいあく。」
及川徹を先頭に歩く、青葉城西高校バレーボール部の面々である。
こりゃまた厄介な相手に出くわしたもんだ。せめて及川以外だったら、、、
のち後にあるであろうだいちからのお説教に青城の事も含まれるのかと考えたら憂鬱になるほか無かった。
あーもう帰りたい。