第17章 春高一次予選
2セット目が始まってすぐ、9番くんのスパイクで夕が吹っ飛ばされた。
「相変わらずの大砲っぷりだこと、、、」
流石に苦笑いがこぼれる。
子「先生、もしあんな大きい相手とだって戦う事になったら、マイナス・テンポを使わなきゃ勝てないの?」
元「わはは!そんなワケあるか!単体で勝てないなら、数を増やせばいいんだよ」
その時、烏野は東京合宿で身につけた
1stテンポのシンクロ攻撃を仕掛けた。
バックアタックで跳んだ龍がスパイクを決めると点差は3点に広がった。
今の攻撃で警戒の対象は翔陽以外にも向くことになる。
点取り合戦が始まり、
獲って、取り返して、また獲って
そしてついに、烏野はマッチポイントを迎えた。
「なのに迫力衰えないねぇ、、、あの9番くん」
最早拍手を送りたくなる程の精神力。
飛雄のサーブが上げられると、当然の様に9番くんにトスが上がった。
いつもよりほんの少し溜めてから跳んだブロックは手が上を向いていて、ソフト・ブロックでワンタッチを狙ったことが分かった。
威力の弱まったボールは旭と龍がカバーして
翔陽に二段トスが上げられた
2mを含む壁3枚 対 翔陽
普通なら勝ち目なんてないけど
翔陽なら、、、
精一杯の期待を込めて視線を向ければ、
翔陽は9番くんの手の端に当てるように“上”へ打った。
弾かれたボールは選手達の頭上を越え、コートの外へ。
体育館に響く笛の音と歓声は、烏野の勝利を意味していた。
烏野高校 一次予選突破 代表決定戦進出