第17章 春高一次予選
鋭く走り込んできた翔陽はAからBに跳び、相手の意表を突いた、はずだった
反応が遅れたはずの9番くんはほんの少し斜めに跳んだだけで翔陽の前に壁を作った。
ギリギリの所でフェイントに切り替え、辛うじて2点目を獲ることが出来たものの、見ている側は冷や汗ものだ。
谷「田中先輩ナイサー」
「ナイサー、、、って、翔陽めっちゃギラついてる。お預け食らった犬か。」
龍のサーブが上げられるとやっぱりラストは9番くんにトスが上がった。
西「ッシャアア!!!」
夕のレシーブは当たり前のように綺麗に上がり、飛雄がボールに触れた次の瞬間には頂に居る翔陽の掌に吸い込まれるようなトスが上がって
気づけばボールはコートに叩きつけられ、角川の選手はそれを見ていることしか出来なかった。
「いつ見てもワケ分かんね。」
モ「うおおお!!出た!IH予選でやってた“超速攻”!!」
美「え?え??」
一度見たことある人も、無い人も、一斉に驚きに包まれた。
元「、、、恐らくこの予選ダントツの最高身長であろう201cm、、、そいつを最も翻弄するのは、162cmかもな。」
飛ぶことを覚えた雛鳥は、どんな高い壁だって越えて行く。
「そんな壁、さっさと越えちゃえよ。」
目指す舞台は、もっともっと高いんだから。
変人速攻のミスは少しあるものの、2点リードを保ったまま少しずつ点を重ね、いよいよ烏野のセットポイントになった。